ゆたか牛ヒストリー
和牛と言えば去勢、未経産牛が一般的ですが、
ブランド牛「ゆたか牛」は、経産牛(けいさんぎゅう)を特別な方法で肥育したお肉です。
経産牛とは
経産牛とは、読んで字のごとく、出産を経験した牛のことです。
経産牛は未経産牛に比べて『固い』『味が劣る』とされ、多くの場合ミンチや加工品で取引されます。
しかし、丁寧に再肥育された経産牛なら
やわらかさに加え、赤身本来の肉の旨みを味わうことができます。
これは、繰り返し出産を経験して熟成された経産牛にしか出せない味です。
経産牛の再肥育は時間も手間も費用もかかるため難易度は高いですが、多くの方に経産牛の美味しさを知ってもらいたい。
経産牛の正しい価値を知ってもらいたい。
と思い、当牧場では経産牛の肥育に力を入れています。
“再肥育”しています
牛に優しい飼育環境
はじめに、牛が満たされる環境づくりに力を入れています。
たいていの場合、母牛は出産したらすぐに子牛と引き離され、再び種付けを行います。
できるだけ早いサイクルで子牛を産ませる方が効率が良いからです。
しかし、当牧場では無理に母牛を子牛から引き離すことはしません。
母牛は最低でも3ヶ月間、子牛と一緒に過ごします。
子牛は免疫物質が多く含まれた初乳、栄養たっぷりの母乳で育ち、母子ともにストレスが和らいだ環境で健康に育ちます。
当然肉質にもいい効果をもたらします。
エサを自家配合
「不思議なくらいニオイがしないですね!」
当牧場の牛舎に来られた方はみなさん驚かれます。
その理由は、牛の健康を考えた谷澤牧場独自の飼料にあります。
おから、とうもろこし、ゴマ、きのこ(乳酸菌配合の菌床)などを配合して乳酸菌発酵させたものです。
それも、完全に発酵されていない飼料は消化に負担がかかってしまい、結果的に牛糞も臭くなります。
牛が食べる飼料はお肉の風味に直結します。
ですから、当牧場では牛に与える飼料に熱処理を施しています。
栄養が吸収されやすくなり、肉質も良くなります。
この谷澤牧場独自のこだわりのエサは
牛の健康を考え、2年以上の研究を重ねました。
SDGs
このエサは愛知県内の食品残渣を利用した飼料で、エコフィード(eco-feed)と呼ばれます。
原料は、仲間の農家さんに定期的に譲っていただいています。
この「定期的」に原料を調達することが意外に難しく、苦労しました。
この原料のひとつである菌床(きのこ)を牛の寝床の敷きわらに加え、質のいい堆肥も作っています。
この堆肥は、県内の米農家さんや畑をやっている農家さんに利用していただいています。
こうして、飼料、家畜、堆肥という循環型農業の確立も実現できました。
サステナブル、持続可能な仕組みができたことで、「ゆたか牛」をさらに安定的にお届けできています。
おいしいお肉「ゆたか牛」を食べてほしい
いかがでしょうか。
時間と手間をかけ、愛情をもって育て、特別な技術で熟成した経産牛、それがブランド黒毛和牛「ゆたか牛」です。
「一般の和牛に比べて赤身の旨みが濃い!」
召し上がった方々からよくいただく感想です。
年齢を重ねるごとに味が濃くなるため、生涯をかけて役割を全うした経産牛でしか味わえない、特別な赤身の旨みがあります。
脂が甘く、やわらかく、赤身の風味に優れ、噛むたびにお肉そのものの旨みを堪能できます。
この美味しさを、ひとりでも多くの方々に届けたい、味わってほしいという思いから工夫を重ねてきました。
これからもその思いで育て、販売していきます。
育てた牛たちを食べた方から「おいしい!」と言われることが飼育販売をする私のやりがいであり、
育てた経産牛たちの一生が最後の最後まで“ゆたか”であることを願っています。